「いい大学に行って大企業に就職する。そうすれば幸せな人生が送れる。だからたくさん勉強しましょう」
これは今どきの考え方ではないのかもしれませんが、人生の選択肢を広げる意味でも、やっぱりそれなりに勉強ってできた方がいいと思います。
教育熱心な親であれば、子どもが小さいうちから勉強を教えたり、勉強できる環境をつくるように努めていることでしょう。
勉強させるにしてもいろいろなやり方があるとは思いますが、僕が圧倒的にオススメしたいのは「読書」させることです。
そう思う一番の理由には、国内外問わず超一流の起業家・経営者と呼ばれる人の多くが常軌を逸した読書家であるからです。
「子どもの頃から1日3冊本を読むのが日課だった」
「小学校低学年のうちに図書室の本すべてを読んでしまった」
「読む本が無くなったから百科事典をすべて暗記した」
こんな常人ではなかなかできなそうな逸話はたくさんあります。
まあこういった人たちには「学校でイジメにあっていたため、図書室しか居場所がなかった」とか「子どもの頃は病弱で、学校を休んでばかりだった」というような少し変わった背景があることも多いのですが。
とにかく際立った実績を出している人には、読書家が多いのは事実です。
彼らのような異常な読書量とはいかなくても、小さいころから少しずつ読書を習慣付けていくことは、「勉強」という観点から見ても非常に有効な手段だと思います。
その理由の一つとして、読書は勉強の「成長速度を加速させる」と考えています。
今回は、小さいうちからの読書が「なぜ勉強の成長速度を加速させるのか」ということについて書いていきたいと思います。
読解力が大事
読書をすることで成長する能力として、最初に思いつくのが「読解力」ではないでしょうか。
平たく言えば「文章を読んで理解する力」のことなんですが、文章だけでなく人とのコミュニケーションにおいても大きく役立つ能力と言えます。
人から何かを学ぶ際に、どういった形で情報を得るかというと、そのほとんどが「言語」によるものです。
コミュニケーションに限っていうと、言葉(言語)以外の非言語情報から得る情報の割合は大きくなるとも言われていますが、勉強という観点で見るとやはり言語が最も有用な情報を伝えるツールだと言えます。
この言語での情報を、どれだけ吸収できるかが「読解力」があるかないかということになります。
学校の授業で先生が言ったことを100%理解し、それを忘れなければ、理論上テストでは100点を取れるはずです。
しかしほとんどの生徒がそうならないのは、忘れてしまう以前に、先生の言ったことを100%理解できていないからです。
先生の言うことをどれだけ理解できるか、それが「読解力」に大きく左右されるのです。
同じ授業を1時間受けたとしても、読解力100のA君と読解力50のB君では、インプットできる量が圧倒的に変わってくるということなのです。
教科書を読んで勉強するにしても、問題集を解くにしても、「読解力」がどれだけあるかによって、同じ時間で得るものは大きく変わります。
「読解力」が高いほど「インプットの質」が高まる、ということなのです。
では「成長速度が加速する」ということを順序立てて説明していきます。
経験値2倍というスキル
『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』に代表される、ロールプレイングゲームをプレイしたことがある人は多いと思います。
こういったゲームの多くには「経験値」というものが存在し、モンスター(便宜上、戦う敵の事はモンスターと呼びます)を倒すと「経験値」を得ることができます。
その「経験値」が一定以上たまるとレベルが上がり、能力が上がっていく、というのが一般的なロールプレイングゲームの「成長」の流れになります。
現実世界での「成長」はゲームと比べると、数値化されていないことや、時間の流れが大きく違うことから、認識するのが難しいです。
ですが、現実世界でもゲームの世界と似たような「成長」はあると僕は考えています。
知っている人もいると思いますが、ゲームの世界には「経験値2倍」というスキルが存在します。
このスキルを持っていると、モンスターを倒した時に得られる経験値が2倍になります。
現実世界での経験値は抽象的なものですが、ゲームの中ではそれが数値化されているため、経験値は「稼ぐ」ものとして表現されます。
「経験値2倍」は、お金で例えると「時給2倍」のようなイメージになるのです。
ですが「どういった理屈で経験値が2倍になっているのか」ということを、真剣に考えたことのある人はほとんどいないのではないでしょうか。
なぜ経験値が2倍になるのか?
ということで、なぜ経験値が2倍になるのかということを考えてみたいと思います。
今回、経験値を得る方法は「モンスターを倒すこと」とします。
では同じモンスターと戦って、なぜ得られる経験値に違いがでるのでしょうか?
僕は、同じ戦闘から得る「学びの質と量」が違うからではないかと考えます。
例えば、A君はドラゴンと戦いました。
A君は何も考えずがむしゃらに戦いましたが、苦戦しながらもなんとか勝利しました。
一方でB君も同じドラゴンと戦いました。
B君はドラゴンの攻撃パターンや癖、弱点はどこか、などいろいろと考えながら戦いました。
やはり苦戦はしましたが、勝利することができました。
では近い未来に再びドラゴンと戦った場合、A君とB君のどちらが楽にドラゴンを攻略することができるでしょうか?
高い確率で、B君だと考えられます。
A君とB君の違いからわかることは「学ぶ能力が高い」方が成長できるということです。
つまり「経験値2倍」というスキルは「その戦いから、2倍の学びを得るほど深く考えながら戦えるスキル」と言えるのではないでしょうか。
結果「2倍学べる(経験値を得られる)能力」となるのです。
「経験値2倍」は時短になる
「経験値2倍」というスキルには経験値を2倍稼げるということ以外に、もうひとつ大きな特徴があります。
それは「時間を短縮できる」ということです。
「10時間、経験値をためてレベルを上げるためだけに、ただひたすらモンスターと戦う」ということをA君とB君やってもらいます。
A君はスキルを何も持っていないのに対し、B君は「経験値2倍」のスキルを持っています。
それぞれレベル1の状態からスタートし、レベル10まで上げるのにどのくらい時間がかかるのでしょうか?
「A君はB君の2倍の時間をかけてレベル10に到達する」そう考える人もいるのではないでしょうか。
ですが実際そうはなりません。
なぜかというと、
経験値が2倍だから早くレベルが上がる→レベルが上がるとより強い(経験値の多い)モンスターを倒すことができる→多くの経験値を得てさらにレベルが上がる
このような成長の好循環ができるためです。
では「勉強の成長速度を加速させる」という話に戻します。
先に述べたように「読解力」が高ければ、インプットの質が高まります。
質の高い勉強ができることで、次のステージへ早く進むことができます。
「習う前に自分で学ぶ」
「習った内容をより深く理解する」
「(友達に)教える側になる」
次のステージに進むとは、こういうことです。
これを繰り返していくと、ゲームと同じように「成長速度が加速していく」という現象が起きるのです。
「プロのアイスホッケー選手は最初、同じ年齢の仲間よりほんのちょっとだけホッケーが上手だった。そして小さな差が好機を招き、その差が少し広がる。さらに、その有利な立場が次の好機を招く。こうして、最初の小さな差がますます大きくなり、延々と広がって、少年は本物のアウトライアーになる。だが、この少年はもともとアウトライアーだったわけではない。ほんのちょっとホッケーがうまかっただけだ。」
『天才!成功する人々の法則』
マルコム・グラッドウェル著 講談社
小さいころからの読書は、まわりの子どもたちよりほんのちょっと勉強ができるようにしてくれるのです。
それがきっかけとなって、将来的には大きな差が生まれてくると、僕は考えています。
勉強が好きになる
まわりの子どもたちより勉強ができると、有利になる点がもうひとつあります。
それは「勉強が好きになる」ということです。
子どもは「嫌いなこと」をやりたがりません。
反面「好きなこと」に関しては、大人も驚くほどの集中力を発揮します。
子どもが何かを好きになるのに「褒められる」ということがきっかけになることがあります。
子どもは学校での成績が良ければ「自分は勉強が得意だ」ということを自覚するようになります。
そうすると勉強のことを好きになります。
勉強が「好き」な子どもと「嫌い」な子ども、どちらの成長が早いかは言うまでもないですよね。
まとめ
子どもの頃から読書が習慣になっていれば、同世代の子どもたちより一つも二つも上のステージで生きていくことができるようになると思います。
比べることが良いことだとは思いませんが、そうした承認欲求を上回る謙虚さも読書から身につけることができたら最高ですね。
やっておいて損がないのが「読書」です。